「エスピナス登場」の衝撃
『モンスターハンターライズ:サンブレイク』では、マスターランクに「棘竜 エスピナス」が登場しています。
既にサービス終了している『モンスターハンター フロンティア(MHF)』シリーズのモンスターです。
通称「ナス」。
発売が約2週間後に迫った時期に公開され、大きな話題となりました。
MHFをプレイしていた1身としてはもちろん嬉しいのですが、こうなると「他のモンスターも登場するのか」「MHF系のオンラインゲームの続編はないのか」という疑問も浮かんできます。
個人的に気になるというだけですが、この辺についてまとめてみました。
14年ぶりとなるMHFからの参戦
MHFオリジナルモンスターが、MHのメインシリーズ(いわゆる「本家」)に登場するのは、エスピナスで3体目になります。
2008年3月27日発売2の『モンスターハンターポータブル 2nd G(MHP2G)』に登場している「眠鳥 ヒプノック」と「溶岩竜 ヴォルガノス」が前の2体にあたりますが、この2体はMHFとMHP2Gの共同開発となっており、今回のエスピナスの例とは趣旨が異なると言っていいでしょう。
余談ですが、MHXとMHWで登場したヴォルガノスと、MHP2G以降メインシリーズで音沙汰のないヒプノックとの間には結構な差がついてしまっているように思いますね・・・。
ヴォルガノスにはガノトトスやジュラトドスの骨格を流用できることが、登場回数の多い理由かなと思っています。
話が逸れましたが、既にサービス終了から数年経っており、特に復活のそぶりもなかったMHFから最新作にモンスターが登場したことには、やはりインパクトがあるわけです。
なぜエスピナスなのか
MHFには、特殊個体もカウントすると100種ほどのオリジナルモンスターがいます。すごい数。
この中で今回エスピナスが選ばれたことに関しては、きわめて妥当かと思います。
まず、エスピナスはMHFのシーズン2.0より登場しているためヒプノックやヴォルガノスよりは後輩になりますが、先述の事情から「MHFのみに登場していたモンスター」としては最古参になります。
オンラインゲームの性質上「メインモンスター」は大型アップデートごとに入れ替わっているという見方もできますが、それでもMHFの象徴といえばエスピナス、といっても過言ではないくらいの立ち位置ではあります。
また、MHW:IBに関するインタビューにおいては以下のように語られていました。
骨格やモーションの問題に加えて、メインシリーズの世界観に合わせる必要性について言及されています。
その点、ゲームシステム的にも「火・毒・麻痺」という既存の要素で完結しており、サンブレイクにおいて追加された密林に「いそう」なエスピナスは、登場する理由を十分に持っていることになります。
今後の追加はあるのか
『サンブレイク』はまだアップデートを残しており、その中でMHFオリジナルモンスターの追加があるかどうかが気になるところですが、あったとしてエスピナス亜種(通称「茶ナス」)くらいかと思います。
MHFでの茶ナスは原種と全然違うモンスターで、さすがにそのまま持ってくるのは厳しい感じもする3ので、もし登場するならどのような調整をしてくるのか興味があります。
そして、今後のメインシリーズ作品(新作)にMHFモンスターが登場する可能性も出てきていることになります。ある意味、エスピナス参戦による一番の功績と言えるでしょう。(エスピナスは現在ゲスト枠みたいな感じになっていますが、次回作でしれっと続投するんじゃないかと思っています。)
エスピナス系列には、他にもエスピナス希少種や、近縁種(烈種)のメラギナスが存在しています。
メラギナスを裏ボス的な感じで持ってくるのは面白いかなと考えたりもしましたが、属性が闇属性4なのは相当厳しいですね。
ヒプノック、ヴォルガノス、エスピナスと来れば、MHFにおける実装順から考えると次はアクラ・ヴァシムということにもなりますが、結晶やられや独特な部位破壊の仕様をメインシリーズに落とし込むのは難しいと言わざるを得ません。
人気があってシステム的な制約が少なそうなモンスターとなると、ベルキュロスやドラギュロスあたりは次回作以降登場の可能性があるんじゃないかなと思います。
先ほどのインタビューにもあった開発エンジンの違いを考えると、MHFのモンスターを最新作に登場させるには、新しいモンスターを作るのとそれほど変わらない工数がかかるように思います。
「MHFのモンスターが登場する」ことによるユーザーへの訴求力はどれほどのものか。
新規モンスターに負けないだけの魅力があると開発側が判断するかどうかにかかっていますね。
MHFの続編は・・・
本日(2022/07/05)は、MHFサービス開始から15周年を迎える日です。
自分が思うMHFの魅力は、以下の4つです。
- フレーム回避やカウンターを前提とするアクション性(巧撃・纏雷といったスキルの存在)
- 抜刀時の移動の速さ(極ノ型による抜刀ダッシュ、スラッシュアックスF)
- 異様なほど盛れるスキル(シミュが楽しい)
- インパクトのある強力なモンスター(極み個体など)
これらについては、モンハンの枠にとどまらず、他のあらゆるゲームと比較しても非常に魅力的でした。
今でもMHFを愛し、惜しむ声が聞かれるのも納得です。
ただ、そのような長所がありながらも、MHFは「サービス継続が難しい状況となって終わった」というのもまた事実です。
PS2のゲームであるMH2(dos)をベースとして作られたゲームの開発には限界があったことが開発者から語られていますし、あくまで個人的な感想ですが、システム面は「古いオンラインゲーム」を抜け出せていない部分があったように思います。類稀なるアクションゲームとしての出来の良さによって12年以上存続した、という印象であり、本当に凄いことだと思います。
多くのMHFプレイヤーが一度は思ったことがあるのが、「今のゲームエンジンでもう一度MHFライクのオンラインゲームを作ってほしい」ということではないでしょうか。
主語を大きくしてしまいましたが、少なくとも自分はそう思っています。
モンハンのメインシリーズへの愛についてはそうそう負けないくらいの自信がありますし、はっきり言ってどの作品も傑作だと思っていますが、それでもMHFにはまた違った楽しさがありました。
・・・ただ、現状はほぼ「ない」と言ってもいいくらいの状況ですね。
以下の記事は、イタリアのメディア「Multiplayer.it」による『サンブレイク』開発陣へのインタビューです。
Monster Hunter Rise: Sunbreak, intervista a Ryoji Tsujimoto e Yoshitake Suzuki
※イタリア語なので、必要に応じてDeepL等で翻訳してください。以下、Nuiの意訳が含まれます。
この中で、「オンラインゲーム形式への移行を検討したことはあるか」という質問がされていますが、「コンセプトに基づいてそれぞれの新作を作り、『サンブレイク』のような形で改めて展開する」形式をとっている、と回答しています。
「長期的に運営を行う場合、それを維持するためにどんどん仕組みを追加していき、最終的には初期のものでなくなった製品ができてしまう。『モンスターハンター』は新作を出すたびに「どのようなゲームにするのか」を自問自答しており、プレイヤーからのフィードバックを受けて、その後のタイトルでは新たな取り組みを行っていく」
毎作品で挑戦的な試みを行っているモンハンシリーズだからこそ、説得力のあるコメントだと思います。
(2022/07/06追記)また、今回の盛り上がりを受けて、改めてMHFのオフライン化や続編の開発は「非常に難しい」旨が語られています。
最近は買い切り型のゲームとオンラインゲームの間の境界が曖昧になってきているように感じるので、そのような流れの中で今後『モンスターハンター』シリーズの動向に注目していきたいです。
先ほど挙げた良い部分を全て過去のものとしてしまうのはあまりにも惜しいので、部分的にでもMHFの要素は復活してほしいですね。
最後に
CAPCOMは『TEPPEN』というDCGを運営しており、そちらにエスピナスと一緒に「喰血竜 バルラガル」が登場したことも話題となりました(この情報が最初に出た時は、『サンブレイク』にバルラガルも来るのでは!?とも一部で言われていました)。
シンプルに考えて、サービス終了から数年が経過したことで、MHFのモンスター達を登場させる企画が実行に移される段階になっている、ということなんでしょう。
サービス稼働中はしっかりと棲み分けをしていた印象のあるメインシリーズとMHFですが、今後の展開にも期待していきたいです。
MHF15周年、おめでとうございます。
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